ShopifyによるECサイト構築の費用を徹底解説!小中大規模の3つに分けて紹介
- EC
- Shopify
- サイト構築
- プロジェクト管理
- 規模
- 費用
- 開発
目次
1.はじめに
1.1 記事について
本記事では、Shopifyを利用したECサイト構築にかかる費用について解説します。ECサイト構築を検討している方に向けて、構築規模を小中大の3つの規模に分けて具体的に紹介します。
また、費用だけでなく、各規模を計る目安や作業範囲、成果物なども併せて記載してますので、自社ECサイトと合致する部分など、是非、確認してみて下さい。
1.2 記事の対象
本記事は、企業のEC担当者や運営者、Shopifyを使って新たにECサイトを立ち上げようと考えている方を対象にしています。そもそも、どれくらいの費用がかかるのか知りたい方、現在、ベンダーから見積もりを貰っているけど、その見積もりの妥当性をこっそり確認したい方など、この記事を参考にして頂ければと思います。
1.3 記事
約10分程度
1.4 用語
• テーマ
Shopifyで構築したECサイトのトップページや商品一覧、詳細ページなどのフロント画面の土台となる
もの。
参考:Shopifyテーマ
• ストアフロント
ECサイトのトップページや商品一覧、詳細ページなどのフロント画面
• バックエンド
データ連携やフロントの機能を実現するためのユーザーから見えないシステム部分
• ベンダー
この記事では、ShopifyでECサイトを構築する会社を指す
2. 開発規模による費用感
それでは、早速、小中大規模それぞれの費用イメージを以下の観点に沿って説明したいと思います。
・費用
・規模の目安
・ベンダーの作業範囲
・成果物
・EC事業社様の作業
・解説
2.1 小規模(Shopifyデフォルトと公開アプリを活用)
費用:100万円〜200万円程度
規模の目安:
・テーマ利用(デザインのカスタマイズなし)
・一般的なEC機能(決済、マイページ、配送日時指定など)
・ECサイトに必要なページ
・顧客数 1万件以下
・商品数 数十点以下
・注文数 数十件以下 / 日
・構築期間 2〜3ヶ月程度
・ベンダー作業範囲:
・Shopifyのストア設定
・無料/有料テーマの提案
・トップ、商品一覧、商品詳細、カート、マイページ、ポリシーページなどECサイトに
必要なページの設計と実装
・機能要件に応じたアプリの導入と実装 ※機能数によって費用に変動あり
・出荷/在庫/売上管理の設計フォロー ※Shopifyや公開アプリを利用した運用
・データ移行計画 ※リプレイスの場合
・表示確認を主とした全体テスト
・リリース作業
・プロジェクト管理
成果物:
スケジュール
プロジェクト開始からリリースまでのスケジュール
・サイトマップ
サイトの全ページとURLの一覧及びメニュー/ヘッダー/フッター/検索項目の定義
・機能/アプリ一覧
ストアの機能と利用するアプリ、料金の一覧
・各種フォーマット仕様書
商品やリプレイスの場合は顧客のデータ登録フォーマット
・全体テスト仕様書兼実績報告書
テストの観点/テストケースとテスト結果
・リリース計画/手順書
リリースに向けた必要タスクのWBSと当日の手順書
・ストア及びソース一式
EC事業社様の作業:
・利用するテーマの決定
・サイトに載せる写真などの資材提供
・ポリシーページなどの原稿提供
・機能や仕様の検討と承認
・Shopifyへの登録データ(商品や移行顧客)の準備
・ストアの受入テスト
・リリースに向けた必要な作業
・成果物の検収
解説:
まず、新規構築かリプレイスかによって費用の差があります。
リプレイスの場合、移行するデータの検討や設計、検証、移行計画の策定、移行後のユーザーへの通知などベンダー側もEC事業社様側も必要な作業が圧倒的に増えます。
また、搭載したい機能数によってもアプリの導入工数が増えますので、費用を抑えたい場合はなるべく必要最低限の機能のみに絞ってスタートすることをオススメいたします。
特にアプリ導入を行うとその分ラインニングコストも加算されますからね。
とにかく費用を抑えたいという方は、フリーランスなど個人事業主の方にお願いすることで費用を抑えることも可能だと思います。
または、頑張れば独学でもオープンすることは可能です。
(様々なビジネス規模に対応できるのがShopifyの長所でもあります)
2.2 中規模(デザインや機能のカスタマイズあり)
費用:300万円〜1,000万円程度
規模の目安:
・デザインのカスタマイズ
・一般的なEC機能(決済、マイページ、配送日時指定など)
・ストアや商材に合わせた機能(のし、ギフト、会員ランク、ポイント機能、定期商品)
・ECサイトに必要なページ
・コンテンツページ(ブランド、ブログ、ニュース、店舗など)
・顧客数 5万件前後
・商品数 数百点
・注文数 100〜200件程度 / 日
・構築期間 6ヶ月程度
・出荷や在庫などの外部との連携あり
ベンダー作業範囲:
・小規模ケースの内容
+
・要件定義
・コンテンツページの設計と実装
・機能要件に応じたストアフロントのカスタマイズ開発 ※機能数によって費用に変動あり
・出荷/在庫/売上管理の外部との連携アプリの導入と実装
・各機能のテスト、外部結合テスト、シナリオ・運用の全体テスト
成果物:
・小規模ケースの内容
+
・プロジェクト計画書
・要件定義、構築の各フェーズのスケジュール、作業/納品物スコープ、体制、コミュニケーション、
リスクなどの計画
・要件定義書
・要件定義で決定したストア要件の定義
・デザイン
制作したデザインデータ
・機能設計書
カスタマイズ開発するストアフロントの機能や画面設計書
・外部連携仕様書
外部との連携仕様を記載した資料
EC事業社様の作業:
・小規模ケースの内容
+
・プロジェクト計画の承認
・要件事項の検討と定義の承認
・デザインの決定
・外部連携システムやサービスとの調整
解説:
中規模になると、多くの場合、デザインのカスタマイズ、ストア独自の機能実装、外部とのデータ連携などが発生します。
また、リプレイスの場合、移行するデータ量も多いため、移行の検討や作業にも時間を要します。
機能要件やユーザー数、登場するシステムが増えると、その分、色々なユースケースを考える必要があります。
例えば、ポイント機能と一口に言っても、ポイント付与率、付与タイミング、有効期限、期間限定ポイント、ポイント倍率設定商品、セール商品除外、利用ポイントの経理での計上・管理方法、キャンセル・返金時の方針、ポイントサービス紹介ページの制作などなど、、パッと書き出すだけでも、考えること、やるべきことがたくさん出てきます。
そのため、この規模になると、要件定義のフェーズがとても重要になってきます。
何となくで構築に入ってしまうと、要件の検討漏れやサービスとしてクリティカルな課題が、いざユーザー視点でのテスト、運用テストをしてみて出てくるのです。
リリース間際だったら大変ですよね。
きちんとユーザーや運用のユースケースを洗い出し、EC事業社様とベンダーとで認識合わせしておくことが、構築フェーズを失敗しない秘訣になります。
その分、要件定義の期間と費用も大きる傾向にあります。
2.3 大規模(基幹・倉庫システムとの外部連携開発あり)
費用:3,000万円以上
規模の目安:
・デザインのカスタマイズ
・一般的なEC機能(決済、マイページ、配送日時指定など)
・ストアや商材に合わせた機能(のし、ギフト、会員ランク、ポイント機能、定期商品)
・ECサイトに必要なページ
・コンテンツページ(ブランド、ブログ、ニュース、店舗など)
・顧客数 10万件以上
・商品数 数千点以上
・注文数 500件以上 / 日
・構築期間 1年程度
・基幹や倉庫など外部システムとの独自連携開発が必要
ベンダー作業範囲:
・中規模ケースの内容
+
・基幹や倉庫などの外部システムとの独自連携開発
・インフラの要件定義/非機能要件定義
・インフラ環境構築
成果物:
・中規模ケースの内容
+
・各種バックエンド開発資料
・データフロー図、ユースケース図、API仕様書、DB設計書、詳細設計書、システム構成図など
EC事業社様の作業:
・中規模ケースの内容
+
・各システムベンダーなどのステークホルダーとの調整
・バックエンド開発機能の仕様検討と承認
・外部システムとの連携含めた受入テスト
大規模になると、ShopifyのプランもShopify Plusと呼ばれる最上位プランになるケースが多く、ECサイトを構成するページやストアフロントの要件だけでなく、基幹システムや倉庫システム、CRM、OMS、WMS、CDP、DMP、MAシステムなど、外部システムとのデータ連携のバックエンド開発が必要になることがほとんどです。
Shopifyのみでは完結しないため、カスタムアプリと呼ばれる独自のアプリを開発する必要があります。アプリが稼働するインフラ環境の構築も必要になり、多くの場合、個人情報の取り扱いが発生するため、セキュリティ要件や非機能要件についても定義する必要があります。
加えて、各システムベンダー様など複数の登場人物が現れるため、ステークホルダーのリソース調整や外部の開発期間との調整など、プロジェクトはさらに複雑化していきます。
小規模案件とは全く違う質のプロジェクトとなります。
期間も要件定義に4ヶ月前後、構築に8ヶ月前後、全体で1年前後のプロジェクトとなり、EC事業社様側で行っていただく作業も多くなります。費用も数千万円〜億規模となります。
3. ShopifyによるECサイト構築時の見積もりポイント
ここまで小中大規模の3つのケースに分けて解説してきましたが、改めて費用が大きくなる見積もりのポイントを挙げてみたいと思います。
・ストアの規模が大きい
・既存ストアからのリプレイス
・デザインを一から作りたい
・実現したい機能数が多い
・細かい要件に拘った独自の機能が必要
・基幹や倉庫システムなどの外部システムがあり、データ連携する必要がある
・多言語対応サイト
・BtoBも展開したい
・ECサイトを構築するために登場する人物・システムが多い
とりあえずは、こんなところでしょうか。他にもありそうですが、キリがないので。
もし全てに当てはまる場合、恐らくそれは大規模案件です!
まとめ
本記事では、ShopifyによるECサイト構築にかかる費用について、小中大規模の3ケースに分けて具体的に解説しました。
費用や作業範囲、成果物などはあくまでも弊社で考える内容であり、案件によって、またベンダーによって多少の違いはあるかと思います。一例としてご参考にして頂ければ幸いです。
おわりに。
ECサイト構築の費用は、プロジェクトでどれだけ人が動くかに起因します。作業工程や成果物を省けば、人も動かないので安くなるかもしれませんが、品質は低下します。逆にきちんとストアの規模や要件に合わせて適正な費用をかけて構築すれば、高い品質でリリースすることが可能です。
是非、適正価格を見つけて、素敵なECサイトを構築しましょう!
著者:PM戦士@一杯ならノンアルのうち
弊社では、ECサイトのリプレース案件から、Shopifyカスタムアプリ開発、保守案件に至るまで、EC中心にプロジェクトの質にこだわり、お客様に笑顔になってもらえるよう日々邁進しております。
皆様からのお問い合わせ・ご相談をお待ちしております。